概要
列車の長さは数百メートルにも及ぶことがあり、運動量保存の物理法則に基づき、最高速度で運行する列車を停止させるのは難しい場合があります。このため、列車テレメトリシステムの実装では、最初に列車先頭のテレメトリ(HOTT)デバイスを配置し、最後に列車末尾のテレメトリ(EOTT)デバイスを配置することになります。これらは連携し、列車のブレーキシステムの制御を主に司ります。列車のブレーキシステムは、全長にわたって張り巡らされた加圧パイプラインです。圧力を解放してブレーキが緩められ、列車は前進できます。
HOTTとEOTTは運行の全体を通じて通信、モニタリング、データログを維持します。
何らかの理由で加圧ブレーキラインが切断され、後方の車両でブレーキが利かなくなった場合、運動量が後方の車両の重量を前方の車両へ押出し、脱線を起こします。
ブレーキパイプの圧力が中断された場合、EOTTが介入して後方からブレーキパイプの圧力を解放し、後方車両のブレーキを有効にすることで、列車を安全に停止させます。
課題

鉄道車両への電子機器実装は、環境条件、電力供給の困難さ、実装デバイスが非常に高い信頼性を保って独立的に稼働する必要性などがあり、決して簡単ではありません。
解決法
そこでお客様はNeousys POC VTCシリーズと特許取得済みのスーパーキャパシタ電源バックアップモジュールのPB-9250J-SAを、EOTTデバイスのコンピューターとして選定しました。POC VTCシリーズは、鉄道車両に実装するためEN 50155認証を受けています。この認証は耐衝撃性と耐振動性も保証しており、Neousysが長年提供している広範囲温度対応という特徴を受け継ぎ、-40°C~70°Cの動作温度を実現しています。
このシステムは8~35Vの広範囲電圧にも対応しており、スタンドアロンの電源バックアップモジュールと組み合わせれば、最大9250ワット秒のエネルギーを提供して、列車から供給される電源を安定させて稼働を維持します。
Neousysプラットフォームの役割
Neousys POC VTCシステムはEOTTデバイスとして機能し、HOTTデバイスと常に連携を保って、運行全体でモニタリングとデータログを行います。POC VTCシステムのもう一つ重要な機能として、ブレーキラインが故障した際にブレーキシステムを確実に正常動作させる機能があります。必要に応じて、列車の後方からブレーキラインを減圧して、各車両のブレーキを作動させられます。
SuperCAP PB-9250J-SAスタンドアロン電源バックアップモジュールと組み合わせることで、POC VTCシステムは列車の電源切断の影響を受けず、動作を継続させられます。突然の停電や、様々なエリアを通過することで生じる電圧変動のいずれであっても、PB-9250J-SAは最大9250Wのエネルギーを供給して、電源供給が不安定な状態からPOCシステムを保護します。Neousys POC VTCシステムは複数のmini PCIeとM.2拡張が可能であり、Wifi6と5Gの新たな無線通信機能をサポートします。EN認証(EN 50155/ 55032/ 55024)を取得し、鉄道または車載実装で理想的な小型組み込みプラットフォームとなっています。
Neousys堅牢組込みコンピューターのメリット
Neousysの超小型堅牢組み込みコンピューターは以下のメリットを提供します
環境耐性
- 過酷な環境条件の変化に耐えられる堅牢設計
- -25°C~70°Cの真広範囲温度動作
- オプションの外付けファンキット
- 動作時の耐衝撃性・耐振動性でMIL-STD-810G認証済み
- 限られた空間に収まる超小型のシステム
接続性/拡張性
- GigEカメラ用のPoE+接続機能
- USBカメラ用のUSB3.1 Gen1/ Gen2接続機能
- ネジロック付き接続ポートが堅牢な接続を確保
- WiFi 6/ WiFi 5/ 5G/ 4Gワイヤレス通信、mini-PCIeモジュールを通じた拡張
電気性能
- 特許取得済みのスタンドアロンSuperCAP UPSが予期しない停電に対処
- 広範囲のDC入力
拡張機能
- mini-PCIe拡張
- Google TPUまたはMovidius VPUモジュール用M.2 Eキー拡張
- NVMe/ SATA信号SSD用M.2 Mキー拡張
- イグニッションコントロール
- MezIOデジタル入力/出力、COM、イーサネット、USB
一部の機能はモデルが限定されます。詳細はNeousysウェブサイトをご覧ください。